先日発表いたしました第23回角川ビーンズ小説大賞受賞者3名の受賞のコメントと、最終候補7作品の選評を公開いたします。
ご応募くださいました方々、選考にあたられた諸氏に改めて御礼申し上げます。

優秀賞&〈一般部門〉審査員特別賞 三川みり先生選
「首なし魔女の数奇な婚礼 〜呪われた騎士と誓いのキスを〜」 采火

【あらすじ】
魔女ドロテの嫌がらせで呪われ、首が家出中の魔女ネリー。
それでも毎日元気いっぱいの彼女のもとに、全身頭まで甲冑で覆い隠した近衛騎士、エルネストが訪ねてくる。
彼はドロテの呪いで醜い顔に変えられ、見た者に嫌悪と殺意を与える呪詛をかけられてしまっていた。そしてその解呪方法は「魔女の婚礼」で、占いで出た婚礼相手はネリーだと言うのだ。
【そうなのね! わたしの運命の人なのね、エルネストさん……!】
しかし、魔女の婚礼儀式には誓約のキスが必須。
【わたしに首がないので誓いのキスができません!】
二人は婚礼のためドロテを追って首を取り戻す旅に出るのだが……?
顔のない魔女と顔を見せない騎士の、シュールで可愛い恋愛メルヘン!

【受賞コメント】
この度は優秀賞&審査員特別賞という素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。
選出していただいた先生方をはじめ、選考に携わってくださった全ての方、そして日頃から応援してくれている友人たちに、心からの感謝を申し上げます。
受賞の実感をしたのは、学生時代に角川ビーンズ文庫様の作品を一緒に楽しんでいた友人に報告をした時でした。彼女が「感動してる」と伝えてくれた瞬間、私の青春の日々が間違いなくそこにあり、今に繋がったことを感じられました。
かつての私のように、いつか誰かのきっかけとなれるような作品を生み出していけるよう、今後はより一層精進して参ります。

〈一般部門〉審査員特別賞 伊藤たつき先生選
「前世わたしを殺した男が生まれ変わって求婚してきます」 真白燈

【あらすじ】
侯爵令嬢・ルティアの前世は、かつて悪逆と殺戮の限りを尽くした稀代の悪女、女王・アリーセ。前世の記憶を持つルティアは、今世は償いのため養護院に通い奉仕する日々を送っている。
そんな時、嫌々参加した王妃主催のお茶会で驚きの人物と再会する。
ひとりは前世の夫で王配、女王・アリーセの乱心の原因となった男・リーヴェス。
そしてもう一人は……奴隷ながら前世で女王の護衛を務め、アリーセを殺した男・カイ。
それぞれ公爵家当主・キール、第三王子・テオバルトとしてルティアの前に現れた二人は、ルティアに熱烈に愛を囁く。
「私は幸せになってはいけない」
罪悪感から二人を遠ざけ、悪女だった自分が好かれることに混乱するルティア。
やがて、二人の求愛が唯一失ったままの謎、「女王・アリーセの最期」の記憶を呼び起こす。そこには驚きの真実が隠されていて……!?
前世から今世へ――裏切りと罪に塗れて死んだ三人の運命が絡み合うグランド・ロマン!

【受賞コメント】
この度は伊藤たつき先生選の審査員特別賞に選出いただき、誠にありがとうございます。
選考に携わられた皆さまに心より感謝申し上げます。
応募した作品はけっこう重いテーマで、途中辛い描写もあるのですが、そうした中でヒーローがヒロインを想う姿はいいよな…と思いながら書きました。
受賞することができて、とても嬉しく思います。
今後担当編集さまと改稿を重ね、応募時より心に残るような作品を読者の皆さまにお届けできるよう精進してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

〈WEBテーマ部門〉WEB読者賞
「高慢悪女とヘタレ騎士」 星名こころ

【あらすじ】
財力・知力・美貌を兼ね備えた侯爵令嬢・アレクシアは、婚約者である第一王子・クリストファーから婚約破棄された。社交界では、クリストファーの浮気相手で子爵令嬢・ミレーヌをやり込めたことで、高慢な悪女と言われるように。
そんな中、父から辺境伯子息・レニーとの縁談を持ちかけられる。レニーはヘタレと呼ばれ、辺境伯の跡継ぎにもなれない人物らしい。ただ騎士としての腕はあるようで、社交界にうんざりしたアレクシアは縁談を受けることに。
実際に会ったレニーは、立派な体躯に、女性慣れしていない照れやすい一面も。
ヘタレ、可愛いじゃない。
しかしとある事情でレニーは気弱になり、真剣を扱えない騎士だった――。
そんな彼の事情を知ったアレクシアは、レニーを変えることを決意する!
社交界もヘタレもぶった切る! 悪女と呼ばれる高潔令嬢の爽快逆転譚!

【受賞コメント】
この度はWEB読者賞という素晴らしい賞をいただき、大変光栄に存じます。
ご投票くださった方、作品を読んでくださった方、選考に携わってくださった方、すべての方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。
皆様のおかげで、人生初受賞という喜びを味わうことができ、感謝の念に堪えません。
この喜びを胸に、皆様のお心に残る作品を生み出していけるよう、より一層精進を重ねてまいります。
これからも温かく見守っていただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

選評
【編集部総評】

第23回「角川ビーンズ小説大賞」には、443作品ものご応募をいただきました。
ご応募いただいた皆様には、この場を借りて心より御礼申し上げます。

今回の応募作品においては、非常に多種多様なテーマが見受けられました。
近年、女性向け作品はメディア化が続き、多くの方の目に触れることで読み手も書き手もさらに成長しているジャンルとなっています。
そうなるとひとつのテーマにおいても既視感が出てきがちになりますが、その中でも、書き手として面白いと思ったものを「自分ならこう魅せたい」「読ませたい」という意志や挑戦が感じられる作品が多く、大変嬉しい選考となりました。

全体的なレベルも向上しており、作品の中で多くの作者自身の「好き」を感じさせていただきましたが、その反面、限られた中で要素を無理に詰め込んだ結果、せっかくの「好き」が曖昧になってしまっている作品も多く見受けられました。

書き手、読み手、作品が揃って初めてエンタテインメントとなりえます。その「好き」は今、読み手にとって本当に必要なのか。一番伝えたいことを阻害してはいないか。

今回最終候補となった作品は、自身の「好き」をいかに魅力的に描くか、という意識が評価されました。さらに受賞作においては、その「好き」をいかにして伝えるか、という視点において、エンタテインメントを意識していたことが受賞に至りました。

第24回においてはリニューアルをし、新たにFLOS COMIC協力のもと、コミカライズ確約となる賞が増えました。またテーマ部門ではキャラクター属性を重視した「カリスマ系ヒロイン」、関係値を重視した「主従関係の恋」とテーマを設定しています。

一般部門とあわせて、「あなたにしか書けない物語」を心待ちにしております。

《一般部門》
【総評】

〈伊藤たつき先生〉
今回はバラエティに富んだお話ばかりで楽しく読ませて頂きました。
それぞれ惜しいなと思う部分はありましたが、小説一冊分を書き上げるだけの精神力と体力、そして情熱が十分伝わってきました。ただ、全体的に設定などがわかりにくいお話が多かった印象です。書き終わったら客観的な視点で、読む人にわかりやすく面白く伝わっているかを意識しながら読み直すと、問題点が見えてきてそれぞれもっとよくなるのではと思いました。

〈三川みり先生〉
今回の最終選考に残ったのは「自分が何を書きたいか」を理解して書かれている四作品でした。書きたいものが明確なので、当然それぞれ個性的。個性を比較するのは困難なため、客観的な評価というよりは主観的な評価になり、審査に関わったそれぞれが個人的に感じ取れる魅力がその作品にあるかないかが評価を大きく左右しました。技術は指導次第で身につきますが、魅力を作るのは並大抵のことではないです。今回受賞した作品は選考委員の誰かに訴える魅力があったということかと思います。

●「首なし魔女の数奇な婚礼 〜呪われた騎士と誓いのキスを〜」 采火

〈伊藤たつき先生〉
エンタメ小説として面白かったです。世界観や魔法などうまくお話に組み込まれていましたし、設定が斬新でした。ですが世界観や各キャラの関係性、最後の戦いの部分など、ややわかりにくいところもありました。読者が感情移入しやすいようにするにはどうしたらいいかを念頭に置くと、もっと面白くなるのではないかと思います。 

〈三川みり先生〉
とても楽しく拝読しました。文章力・構成力もあり、キャラクター造形も巧みです。物語が進むにつれあかされる魔女と皇国の対立、キャラクターの感情、どれも自然で引き込まれました。首のないヒロインと鎧姿しか見せられないヒーローが、作品の最大の面白みでもあり魅力でもありつつ、それが読者に受けいれられるのかという点のみが悩ましかったです。

〈編集部〉
首のない魔女と、顔を隠さなければならない騎士。大変難しい設定を、ファンタジーだからこその表現と、前向きで純粋なヒロインのキャラクター力で最後まで見事に描ききった作品でした。構成としても無理がなく、顔が見えないからこそ出しづらい感情や設定についても魅力的に表現されています。
惜しむべくは、ヒロインのキャラクター性に比べてヒーローが動きづらく、魅力が出し切れていないと感じさせてしまう点でした。設定以外でも「この二人だからこそ」と思えるだけの魅力を伝えきれるか、が大きな課題かと思います。

●前世わたしを殺した男が生まれ変わって求婚してきます

〈伊藤たつき先生〉
角川ビーンズ文庫向けとしては、なかなかハードなお話だと思いましたが、私は面白く読ませて頂きました。いろいろと気にはなりましたが、ぐっと引き込まれるものがありました。一番気になったのは、後半は盛り上がりがありますが、前半は一本調子で進んでいく事です。キャラクターをしっかり作り込めば自然に動いてくれるようになるので、盛り上がりもできてもっと面白くなるのではと思いました。

〈三川みり先生〉
人と人との関係を書こうとする姿勢が素晴らしく、また書けるだけの力量がある作者様だと感じました。前世のストーリーと今世のストーリーをうまく構成できたならば、もっと説得力があり、さらにドラマチックな物語になると思えます。クライマックスの炎の場面は、うまくすれば鳥肌ものの名シーンになるかもしれず、期待が大きいです。

〈編集部〉
悪逆の限りを尽くした女王としての前世を持つ侯爵令嬢が、同じ時代の前世を持つ男性二人と邂逅し、様々な謎が絡み合っていくストーリー。導入から、前世で最も悔いていることに対して今世でいかに向き合っていくのか、という期待感を持たせることができています。 一方で、謎が解けていく過程や、キャラクター配置などの構成部分では物足りなさがありました。エンタテインメントとして読者がどこを楽しみたいと思っているのか、今どの部分を理解して、どの部分を知りたいと思っているのか、作者として没入しすぎずに物語と向き合うことを考えてみてください。

●男性恐怖症の呪われ王女は、オネエ騎士と恋をする

〈伊藤たつき先生〉
読みやすかったです。世界観などもよくできていたし、キャラクター設定などの発想もよかったと思います。もったいないと思ったのは、ストーリーに起伏が乏しく、オネエキャラがやや弱いところです。文章力も発想力もある方だと思うので、キャラクターを作り込んでストーリーの盛り上がりを意識してお話作りをすれば、もっと面白く書けるのではと期待しています。

〈三川みり先生〉
小説の技術は巧みでストレスなく読めました。物語もキャラクターも嫌みがなく、それが強みでもあり弱点でもあると感じました。物語に大きな欠点はないのですが、読み手に強い印象を残すための半歩が足りない感があります。印象が強くなるだろうエピソードは散見されますが、それを生かしきれていないのは、構成もしくはキャラクター造形によるかと思います。おしい作品でした。

〈編集部〉
呪いに侵されたヒロインの死の宿命という重い背景ながら、ヒーローが「オネエ騎士」ゆえにヒロインに怖がられないという関係は面白みがありますが、それ以上の盛り上がりがなく、ヒーローの魅力が伝わりにくいと感じました。
また国にかけられた呪いについて、解明へ至る事件が突然起こり、その後の展開に対して読者の感情が追いつかないままになってしまっていたのは残念でした。キャラクタ-、設定、伏線など、点と点を繋いだ物語の構成を考えてみてください。

●後宮呪術物語

〈伊藤たつき先生〉
ミステリー仕立てで、ロマンスよりも事件に重きを置いたお話で、個人的には好きです。呪術を使った謎解きも楽しめました。ですが、登場人物や設定が多すぎて混乱するので、整理が必要だと思います。また、誤字脱字、ら抜き表現が目立つのが気になりました。一つ一つ事件があって、それがラストに繋がるという構成はお上手だったと思います。

〈三川みり先生〉
中華後宮ミステリーを書きたいという意欲と、謎を作ろうとする努力の姿勢は素晴らしいです。ただキャラクター文芸としては謎が弱く、ライトノベルにしてはキャラクターが弱く、中途半端な印象でした。どの方向性の作品にしたいのか明確に意識して書いていれば、もっと違った作品になり評価も変わったかと思います。

〈編集部〉
後宮で起きた妃の密室死亡事件から始まり、次々と起こる事件が繋がっていきながら、呪術という着眼点から最後にすべての謎が解明される展開は読み応えがありました。
しかし事件の数に合わせて説明描写が多いことに加え、ヒロインとヒーローの視点切り替えが頻繁に起こり、散漫になっている印象です。キャラクター性が掴めないままで、読者がどの目線で楽しめばいいのかというわかりにくさがありました。読者がどの目線で何を楽しみたいと思っているのかを想像して、作品内でのメリハリを意識してみてください。

《WEBテーマ部門》
●高慢悪女とヘタレ騎士

〈読者からのコメント〉
・読みやすく、ヒロインのキャラが立っていて、王子に対するざまあも鮮やかでした。
・ヘタレというよりはトラウマを抱えるヒーローを、高潔なヒロインが救い上げる様子が良かった。
・恋人達の数だけ愛の形があるのだと幸せになる作品です。

〈編集部〉
「高慢な悪女」と呼ばれるヒロインですが、その気の強さと言動は筋が通っており、爽快感のある魅力的なキャラクターとなっていました。「ヘタレ」とされるヒーローにも理由となる過去があり、二人で乗り越えていく姿はキャラクターと設定が上手く相互作用をもたらして、物語として深みを増していました。
一方で、後半の伏線となるポイントの見せ方や緩急のつけかたに、少しアンバランスな点も見受けられました。物語の奥行きを意識して、構成を見直してみてください。

●追放間近の悪役元王妃ですが、兼業である侍女への恋を相談されました、それ私本人です

〈読者からのコメント〉
・一人二役が面白くてどんどん読みすすめました。ヒロインの出自が珍しく、興味を惹かれました。
・読ませ方が上手いなと思いました。

〈編集部〉
悪役王妃と侍女の二面性を持つヒロインが、追放されるために悪役を演じつつも隠しきれない有能さを見せてしまうなど、コミカルなシーンが上手く描かれています。彼女の出生の秘密についても二転三転する中で、設定が繋がっていく面白さがありました。
ただ設定が後から複雑化していき、結局どの部分を一番に掘り下げたい話なのか、という点が曖昧になってしまった印象です。ヒーローについても背景が薄く、魅力が感じづらかった点は残念でした。メインとなるテーマを据えて読者を引き込む構造を意識してみてください。

●悪役令嬢ですが、失恋仲間の当て馬王子と一緒に幸せになります!

〈読者からのコメント〉
・ざまぁされるはずだったふたりが、それを回避するため手を組み協力する展開がとてもよかったです。
・心象表現を丁寧に積み重ねることで、登場人物の心の動きをしっかりと表現していると感じる。

〈編集部〉
当て馬と悪役、そんな二人が断罪を回避するために協力して……という導入は、二人の関係性がどう変化していくのかという期待を上手く持たせられていました。呪いと記憶にまつわる謎も恋愛面を盛り上げています。
コミカルなネタを多く盛り込み、テンポ良く物語が進みますが、全般的にキャラクターたちの葛藤や本心があっさりと流されてしまい、感情移入がしづらい展開となってしまっていました。生きた人間としてのキャラクター性、物語としての起承転結を意識してみてください。


角川ビーンズ文庫では、エンタテインメント小説の新しい書き手を募集しています。

「君の“物語”がここから始まる!」
他の誰でもないあなた「心ときめく物語」を、お待ちしています。

応募要綱
募集作品
第24回角川ビーンズ小説大賞では、下記2部門で作品を募集いたします。
※作品は未発表かつオリジナルの作品に限ります。
※営利を目的としない個人運営のウェブサイト等に公開している作品や、同人誌等で発表している作品は、「未発表」とみなし応募を受け付けます。ただし、かならず作品を公開しているサイト名または同人誌名を、応募時に明記してください。

《一般部門》
ラブストーリー、成長物語、世界を救うファンタジーなど
ジャンルを問わず、エンタテインメント性の強い作品を募集いたします。

《テーマ部門》
下記の<キャラ属性>または<関係値>のいずれかを盛り込んだ印象的なキャラクター、関係性に特化した作品を募集いたします。

<キャラ属性>
カリスマ系ヒロイン
<関係値>
主従関係の恋

賞・副賞
《大賞》 賞金100万円
  副賞……シリーズ化確約・コミカライズ確約
《一般部門優秀賞》 賞金30万円
  副賞……書籍化確約
《テーマ部門優秀賞》 賞金30万円
  副賞……書籍化確約
《特別賞》 賞金10万円
  副賞……書籍化検討
《角川ビーンズ文庫×FLOS COMIC賞》
  副賞……コミカライズ確約

※該当作品が選出されない場合もあります。
※賞金は、消費税込の金額であり、また、別途源泉所得税が徴収される場合があります。
※上記のほか、各部門の最終選考作は、角川ビーンズ文庫編集部より選評を発表いたします(2025年10月中旬以降)。

応募資格
年齢・プロアマを問いません。
※応募は国内居住者に限ります。
※未成年の方でも応募は可能です。ただし応募にあたっては、保護者(法定代理人。以下同じ)にも本応募要項をお読みいただき、保護者の同意を得たうえでご応募ください。応募完了の時点で、本応募要項を契約の内容とすることにつき、保護者の同意も得ているものとして取り扱われます。

応募受付期間
2024年10月1日(火)~2025年5月14日(水)23:59まで

※WEB投稿フォームからの応募の場合、上記期間に送信が完了している作品が選考対象となります。
※小説投稿サイト「カクヨム」からの応募の場合、上記期間終了時点で「第24回角川ビーンズ小説大賞」のタグ(必須)と、部門指定のタグ、あわせて2点のタグがついている作品のみ選考対象となります。

発表
2025年10月頃に角川ビーンズ文庫公式サイトにて発表予定です。
※締切後、下記部門毎に1~3次選考および最終選考を経て発表いたします。
※選考状況により、スケジュールが前後する場合があります。

応募方法
募集部門によって応募方法が異なりますので、下記をご確認のうえご応募ください。
※おひとりで2作品以上の応募が可能です。ただし、1作品ごとに独立した形で応募してください。以下のような場合は選考対象外となります。
・「WEB投稿用応募フォーム」と「カクヨム」の両方から同じ作品で応募する
・「一般部門」「テーマ部門カリスマ系ヒロイン」「テーマ部門主従関係の恋」のうち2つ以上に同じ作品で応募する

【1】《一般部門》WEB専用応募フォームから応募
①ページ下方の応募フォームに必要事項を入力
②アップロードボタンから原稿データを添付
③「応募する」ボタンで応募完了

▼原稿文字数
9万字~12万字以内
原稿データは下記の3点をまとめたものを添付してください。
(1)表紙(作品タイトル・フリガナ/ペンネーム・フリガナ/原稿文字数を明記)
(2)1200字程度のあらすじ
(3)原稿本文

▼原稿形式(ファイル形式)は下記3種のいずれかとしてください。
テキストデータ「.txt」/ワードデータ「.doc」「.docx」/一太郎データ「.jtd」
・書式について、レイアウトはA4横置きに縦組み、1ページにつき40字×34行を基準とします。必ず通し番号をつけてください。
・1度アップロードした作品の修正・削除、ファイルの差替えはできません。アップロード前によくご確認ください。
・応募フォームより応募が完了すると、受領メールをお送りいたします。
・応募が完了した時点で、応募者は本応募要項を契約の内容とすることに同意したものとみなします。
・ご応募いただいた原稿のデータは返却いたしません。必要な方はファイルをお手元に保存してください。

新人賞WEB応募フォーム ※原稿データのアップロードには、Googleアカウントのログインが必須になります。


【2】《一般部門》小説投稿サイト「カクヨム」から応募
①応募作品を小説投稿サイト『カクヨム』の投稿画面より登録
②小説投稿ページにあるタグ欄に「第24回角川ビーンズ小説大賞」と「一般部門」の2種類のタグ(※「24」は半角)を入力して応募完了
※同一作品において、テーマ部門との重複応募はできません。

▼原稿文字数
9万字~12万字以内
・応募時に『カクヨム』に会員登録していただく必要があります。
・応募受付期間の締切時点までに本文が9万字以上12万字以内の作品を選考対象とします。長編、連作短編等小説の形式は不問といたします。
・紹介文部分には、1200字程度であらすじを記載してください。
・作品には「完結」のチェックをつけてください。
・既にカクヨム上で公開されている作品についても、小説作成画面から応募することが可能です。
・応募作品を非公開・削除すると、当該作品は選考対象外となります。
・最終選考作品にノミネートされた場合には、弊社より、カクヨム登録のメールアドレス宛にご連絡を差し上げます。当該通知の記載内容に従い、必要事項をご連絡ください。所定の期日までにご連絡いただけない場合、ノミネートが取り消される場合があります。「contact@kakuyomu.jp」からのメールを受信できるように設定してください。
・応募方法に不備があった場合は選考の対象外となります。
・応募完了の時点で、応募者は本応募要項を契約の内容とすることに同意したものとみなします。

小説投稿サイト「カクヨム」 ※必ずページ下方の注意事項をご確認のうえでご応募ください。


【3】《テーマ部門》小説投稿サイト『カクヨム』から応募
①応募作品を小説投稿サイト『カクヨム』の投稿画面より登録
②小説投稿ページにあるタグ欄に「第24回角川ビーンズ小説大賞」のタグ(※「24」は半角)と、「テーマ部門カリスマ系ヒロイン」または「テーマ部門主従関係の恋」のいずれかのタグを入力して応募完了
※同一作品において、一般部門との重複応募およびテーマ部門中の両テーマへの重複応募はできません。

▼原稿文字数
9万字~12万字以内
・応募時に『カクヨム』に会員登録していただく必要があります。
・応募受付期間の締切時点までに本文が9万字以上12万字以内の作品を選考対象とします。長編、連作短編等小説の形式は不問といたします。
・紹介文部分には、1200字程度であらすじを記載してください。
・作品には「完結」のチェックをつけてください。
・既にカクヨム上で公開されている作品についても、小説作成画面から応募することが可能です。
・応募作品を非公開・削除すると、当該作品は選考対象外となります。
・最終選考作品にノミネートされた場合には、弊社より、カクヨム登録のメールアドレス宛にご連絡を差し上げます。当該通知の記載内容に従い、必要事項をご連絡ください。所定の期日までにご連絡いただけない場合、ノミネートが取り消される場合があります。「contact@kakuyomu.jp」からのメールを受信できるように設定してください。
・応募方法に不備があった場合は選考の対象外となります。
・応募完了の時点で、応募者は本応募要項を契約の内容とすることに同意したものとみなします。

小説投稿サイト「カクヨム」 ※必ずページ下方の注意事項をご確認のうえでご応募ください。

受賞作品の取り扱いについて
・受賞者(各賞を受賞した者)は、弊社に対し、応募作品が受賞した時点(受賞者に対し弊社から受賞のご連絡をした時点又は結果発表時点のいずれか早いほう)で、受賞作品の利用(書籍化、電子書籍化、コミック化、アニメ化、実写映像化、ゲーム化、商品化、デジタル商品化等、受賞作品を翻訳・翻案・複製等したうえ利用することをいい、当該利用を第三者に再許諾すること等を含みます。以下同じ)を独占的に許諾することにつき、予め承諾するものとします。また、応募作品が受賞した場合には、受賞者は、弊社の事前の書面による承諾なくして、受賞作品を自ら利用し、又は弊社以外の第三者に利用させることはできないものとします。

・受賞者(各賞を受賞した者)は、応募作品が受賞した場合、弊社との間で、受賞作品の利用に関する契約を締結すること、受賞者が当該契約の締結を行わない場合には受賞が取り消されることにつき、予め承諾するものとします。なお、受賞作品の利用が行われた場合には、弊社から受賞者に対し、当該利用の対価として、弊社所定の金員が支払われます。また、賞金等は、当該利用の対価に充当されます。

・受賞者は、弊社と前項の契約を締結するにあたり、法令、規程等(公務員の服務規律に関する法令及び受賞者の所属企業等の服務規律に関する規程を含み、以下「法令等」といいます)を遵守するとともに、必要な手続きがある場合は、法令等に従い、契約締結日までに当該手続きを行うこと、また、当該手続きが履践されていない場合には、受賞が取り消されることがあることにつき、予め承諾するものとします。

注意事項
●応募者は、自己の責任と負担において本コンテストに応募するものとします。
●他のコンテストとの二重応募はおやめください。二重応募が判明した場合、当該作品は選考対象外となります。ただし、本コンテストへ応募する前に「カクヨム」で発表している作品は、未発表作品として応募をお受けします。
●過度な性描写・残虐描写を含む作品、第三者の著作権その他の権利・利益を侵害する又は侵害する可能性が高い作品(パロディ、模倣を含みます)、特定の個人・団体を誹謗・中傷する作品、公序良俗に反する内容の作品、カクヨム利用規約に違反している作品(応募者がカクヨム会員である場合に限ります)、本応募要項に違反している作品、その他選考委員が相応しくないと判断した作品は選考対象外となります。
●結果発表後に選考対象外となる事実が認められた場合(未成年の方が保護者の同意を得ていないことが判明した場合を含みます)、受賞が取り消され、賞金等をお返しいただく場合があります。
●選考に関するお問い合わせには応じられません。
●本応募要項に違反した結果、応募者が弊社又はその他の第三者に損害を与えた場合、当該損害を賠償していただきます。
●弊社は、弊社が必要と判断した場合は、応募者の同意を得ることなく、本応募要項を変更することができるものとします。なお、本応募要項を変更する場合、弊社は、その変更の時期及び内容を「角川ビーンズ文庫公式サイト」の「角川ビーンズ小説大賞ページ」上に掲載し、又は応募者に通知します。
●弊社は、本コンテストに関連して応募者に生じた損害については、弊社に帰責事由がある場合を除き、一切責任を負わないものとします。なお、弊社が責任を負う場合であっても、弊社に故意又は重過失がある場合を除き、弊社が応募者に賠償する損害は、応募者に現実に生じた直接かつ通常の損害に限られ、応募者の特別損害、間接損害、逸失利益及び弁護士費用並びにこれらに類する損害については、弊社は一切責任を負わないものとします。
●本応募要項は、日本国法に準拠し、日本国法に従って解釈されるものとします。また、本コンテストに関連して弊社と応募者との間に紛争が生じた場合は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所として、当該紛争等を解決するものとします。
●応募に際しご提供いただいた個人情報は、弊社のプライバシーポリシーの定めるところにより取り扱わせていただきます。

▼本件に関するお問い合わせ
KADOKAWAカスタマーサポート
※かならず「第24回角川ビーンズ小説大賞について」とご明記ください。
※ご返信までにお時間をいただく場合があります。
※サポートは日本国内に限ります。

毎年、ライトノベルの第一線で活躍する作家を輩出する「角川ビーンズ小説大賞」。今年寄せられた443本の中から、慎重なる選考を経て、以下の3作品の受賞が決定いたしました。
応募くださいました方々、選考にあたられた諸氏に厚く御礼申し上げます。

〈一般部門〉優秀賞&審査員特別賞 三川みり先生選
「首なし魔女の数奇な婚礼 〜呪われた騎士と誓いのキスを〜」 采火

〈一般部門〉審査員特別賞 伊藤たつき先生選
「前世わたしを殺した男が生まれ変わって求婚してきます」 真白燈

〈WEBテーマ部門〉WEB読者賞
「高慢悪女とヘタレ騎士」 星名こころ


受賞コメント&選評はこちら



三次選考通過作品(※順不同)
〈一般部門〉 4作品 ※順不同
男性恐怖症の呪われ王女は、オネエ騎士と恋をする/遠屋 堤
後宮呪術物語/メグリくくる
前世わたしを殺した男が生まれ変わって求婚してきます/真白燈
首なし魔女の数奇な婚礼 〜呪われた騎士と誓いのキスを〜/采火

〈WEBテーマ部門〉 3作品 ※順不同
追放間近の悪役元王妃ですが、兼業である侍女への恋を相談されました、それ私本人です/芳原シホ
高慢悪女とヘタレ騎士/星名こころ
悪役令嬢ですが、失恋仲間の当て馬王子と一緒に幸せになります!/朱音ゆうひ


二次選考通過作品(※順不同)
<一般部門> 10作品 ※順不同
命の天秤 ~救世の聖女と裏切りの幹部候補生~/遠屋 堤
男性恐怖症の呪われ王女は、オネエ騎士と恋をする/遠屋 堤
後宮呪術物語/メグリくくる
前世わたしを殺した男が生まれ変わって求婚してきます/真白燈
前世落第天使の公爵令嬢は、怠惰が高じて周りを癒す/遠屋 堤
大食いポッチャリ魔女と銀髪オタク料理人の食い倒れ道中/笛希 真
陰陽鏡の裏後宮/仏座ななくさ
徒花の鍛冶師/shinobu
首なし魔女の数奇な婚礼 〜呪われた騎士と誓いのキスを〜/采火
性別を隠して警備隊に入ったのがバレたら、女嫌いの総隊長の偽恋人になりました【角川ビーンズ小説大賞版】/無月兄

<WEBテーマ部門> 6作品 ※順不同
追放間近の悪役元王妃ですが、兼業である侍女への恋を相談されました、それ私本人です/芳原シホ
高慢悪女とヘタレ騎士/星名こころ
グロリア・フォン・コードウェルの断罪と復讐/万丸うさこ
聖女は過保護な聖騎士に溺愛される/雨宮こるり
悪役令嬢ですが、失恋仲間の当て馬王子と一緒に幸せになります!/朱音ゆうひ
【完結】結末のないモブキャラは仕方がないので王宮のありとあらゆるネタを駆使してベストセラー作家始めます/保桜さやか



いつも角川ビーンズ文庫をご愛読いただきありがとうございます。

例年たくさんの作品をお寄せいただいている「角川ビーンズ小説大賞」について、
本年度に募集開始する第24回から、
リニューアルを実施させていただく運びとなりました。

移り変わる流行をタイムリーに、そして、様々な形で読者の皆さまにお届けするため
①応募受付期間の変更
②賞・副賞の新規設立

を行います。
募集開始に先立ち、リニューアル後の賞の概要をご紹介いたします!

応募受付期間
2024年10月~2025年5月(予定)
※詳細日程は追って告知いたします

募集部門・応募方法
〈一般部門〉
ジャンルを問わず、エンタテインメント性の強い作品を募集いたします。
ラブストーリー、成長物語、世界を救うファンタジーまで
物語の形はさまざまです。
あなたの「心ときめく物語」をお待ちしております。

〈テーマ部門〉
読後まで印象を残す登場人物や、その関係性など、
あなたにしか書けない「心ときめくキャラクター」の活躍する物語をお待ちしております。
テーマキーワードは後日告知いたします!

賞・副賞
大賞 賞金100万円
 副賞……シリーズ化確約・コミカライズ確約

一般部門優秀賞 賞金30万円
 副賞……書籍化確約

テーマ部門優秀賞 賞金30万円
 副賞……書籍化確約

特別賞 賞金10万円
 副賞……書籍化検討

角川ビーンズ文庫×FLOS COMIC賞
 副賞……コミカライズ確約

※該当作品が選出されない場合もあります。
※賞金は、消費税込の金額であり、また、別途源泉所得税が徴収される場合があります。
※上記のほか、各部門の最終選考作には、角川ビーンズ文庫編集部より選評をお送りさせていただきます。

選考・発表
締切後、部門毎の選考を経て、2025年10月に受賞作品を発表予定です。
選考状況によりスケジュールは前後する場合があります。

ほか規定等の詳細は、応募開始時に公開する応募要綱にてご確認ください。


また、小説大賞のリニューアルに伴い
角川ビーンズ文庫の公式キャラクター・ビーンズぼうや の姿もリニューアル!

イラスト/チャイ


今後の最新情報は本サイトおよびビーンズぼうやがお届けする 角川ビーンズ文庫公式X で公開していきます!
お見逃しなく!


先日発表いたしました第22回角川ビーンズ小説大賞受賞者4名の受賞のコメントと、最終候補8作品の選評を公開いたします。
ご応募くださいました方々、選考にあたられた諸氏に改めて御礼申し上げます。


〈一般部門〉審査員特別賞 伊藤たつき先生選
「蜂蜜令嬢の結婚」 佳南
【あらすじ】
蜂蜜を愛してやまないこと以外は至って普通の田舎領主の娘オリヴィアに突如舞い込んできた縁談は、まさかの偽装結婚!? しかも相手は乙女の憧れにして「聖域の騎士」と名高い美青年公爵シオン様。って、王女様の恋人と噂の方じゃないですか! 嫁いで早々馴れ合うつもりはない、と冷たく突き放され、契約終了まで好きに過ごしてやろうと屋敷改革に励むオリヴィア。ところが、過労で倒れたシオンを叱り飛ばしたのをきっかけに互いのことが気になるように。夜会で甘い時間を過ごしたり、蜂蜜知識で公爵領の問題を解決したり、順調に仲を深めていく二人。そんな様子に焦った執着王女は最終手段に出て……!? 本当の恋を見つける契約ラブファンタジー!

【受賞コメント】
この度は、審査員特別賞という素晴らしい賞を頂きありがとうございました。
選出して頂いた先生方を始め、選考に携わってくださいました全ての皆様に感謝申し上げます。
青天の霹靂という言葉がまさにぴったりの出来事に、ただただ驚くばかりですが、これまで自分の中にしか存在しなかった物語が審査に関わる方々の目に触れ、評価を頂けた事、大変光栄で、本当に嬉しく思っております。
この感動を忘れず、これからも真摯に作品と向き合って参ります。 よろしくお願い致します。


〈一般部門〉審査員特別賞 三川みり先生選
「落ちこぼれ回復魔法士のタマノコシ狂騒曲」 糀野アオ
【あらすじ】
コレットは平民ながら将来を嘱望された回復魔法士の卵。しかし実験中の事故がトラウマとなり、治癒に必須の消失魔法が使えなくなってしまった。結局落ちこぼれのまま卒業を迎え、残ったのは未返済の多額の奨学金……。そんなコレットを雇ってくれたのは、王国軍第一大隊長を務める第三王子アルベールだった。安月給ながら予想以上に活躍するコレットの魔力量と驚異の毒耐性に目を付けたアルベールは、住み込みの専属毒見役を提案。「宿泊費、食費は込みだし、お前の仕事は一日三回食事の前くらいだ。破格の副業じゃないか」「そ、それは……(ゴクリ)」しかしアルベールは回復魔法士を信用していない人で――。落ちこぼれ魔法士が王子を救う!? 身分差ラブ!

【受賞コメント】
この度は審査員特別賞をいただき、大変光栄に存じます。
三川みり先生、伊藤たつき先生、そして編集部の皆様には感謝してもしきれません。
また、創作を通して交流してくださる方々、私の意思を尊重し、いつも応援してくれる家族にも、この場を借りて御礼申し上げます。
私が創り出したストーリーや世界観、キャラクターたちを評価していただけたことは、この上ない喜びです。
この気持ちを忘れることなく、皆様にも「面白い」と思っていただける作品を届けられるよう、精一杯執筆活動に励みたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。


奨励賞
「魔法使いのつがいの魔封士」 いちしちいち
【あらすじ】
大気に漂い、あまねく生命に必要な物質・マナ。シャルロットは、周囲のマナを吸収し消滅させる「魔封士」。やがて生命力までも奪ってしまう運命を悲観して命を絶とうとしたその時、ヴィルジールと名乗る男が現れる。「お前の“つがい”となるために来た」彼は魔封士とは正反対にマナを際限なく生み出す「大魔法使い」。古来よりお互いを「つがい」として補い合って生きてきたのだ。彼とともに隠れ住んでいた森から首都に出てきたシャルロットは、魔法使いを巡る王国の思惑と、ヴィルジールの秘密に触れることとなり――? 運命に導かれるファンタジー・ロマンス!

【受賞コメント】
この度は奨励賞という素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。
選考に携わって下さった全ての方々に心よりお礼申し上げます。
初めてご連絡をいただいた際、事前の発表にはなかった奨励賞という形で受賞したと聞き、何が起こったか分からず驚きを隠せませんでした。
このようなご縁をいただけたのは、ひとえに応援してくれた家族と友人達あってのことです。
これからも皆様に読んでよかったと思えるような作品を生み出していけるよう、よりいっそう精進を重ねてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。


〈WEBテーマ部門〉WEB読者賞
「婚約破棄された研究オタクの侯爵令嬢は、後輩からの一途な想いに気づかない」 nenono
【あらすじ】
「フレデリカさん! 僕と結婚してください!」
昨日、第一王子に婚約破棄された侯爵令嬢・フレデリカは、自分の所属する研究室に入った途端、後輩・エミールに結婚を申し込まれた。
エミールは人生を変えてくれたと、婚約者がいるフレデリカを一途に想い続け、罵声を浴びせる第一王子との婚約破棄にも一役買ったようだった。
しかしフレデリカは何よりも研究が好きで、恋心なんてわからない。それでも振り向いてもらおうと奮闘するエミールだが、フレデリカに新たな婚約者候補が登場し――?
研究一筋の侯爵令嬢と、年上後輩で隣国の公爵子息の、こじらせ初恋ストーリー!

【受賞コメント】
この度はWEB読者賞という大変光栄な賞を賜り、ありがとうございます。受賞の知らせを聞いた時、私は驚きで頬をつねったほどでした。投票してくださった方には勿論ですが、読んでいただいた皆様方に心から最大級の感謝を申し上げます。ここからがスタートだと思いますので、 これからも精進し、皆様の期待に応えられるような作品を紡いでいきたいと思います。


選評
【編集部総評】
第22回「角川ビーンズ小説大賞」に、実に403作品ものご応募をいただきました。
ご応募いただいた皆様には、この場を借りて心より御礼申し上げます。

改めて今回の応募作品を振り返ってみると、全体的に非常にレベルが上がっていると感じられました。
発表の場が多様化している中で書き慣れているゆえか、読者の目を通して研磨されてきた実力ゆえか、大きな破綻がなく、最後まで読みこませられるだけの「完成」された作品が多かったように思います。

一方で、昨年以上にテーマの選び方や構成が「似通っている」作品が多く、読み終えた時に「この作品だからこそ」として残るものが少ない印象を受けました。

時代や流行の変化に伴い、ジャンルの方向性も大きな川の流れのように変化していくことは必然です。
しかし、いわゆる「王道」としてのテーマ選びに対し、さらに既知の「テンプレート」を組み合わせた結果、「似通っている」物語に留まってしまってはいないでしょうか。


今回最終候補となった作品は、「自分にしか書けない」ものを意識できている点が評価されました。それはキャラクターであったり、設定や世界観であったり、さまざまな点で「未完成」であろうとも「これが書きたい!」というチャレンジが伝わってくるかどうか、によるのではないかと思います。
その中でも受賞作は、その「未完成」の先を読んでみたい、と思わせられた点が受賞に至りました。

第23回では、テーマ部門のテーマを「悪役悪女」「こじらせ溺愛」に変更しています。
一般部門とあわせて、「あなたにしか書けない物語」を心待ちにしております。


一般部門

【総評】
〈伊藤たつき先生〉
今回はどれも西洋風のお話で、魔法など独自の設定もあってすごいと思いながら読ませて頂きました。残念なのは、読んでいて設定がわかりにくいと感じる作品が多かった事です。どんなに頭でしっかり設定を練っても、それを読み手がすんなり飲み込めるように工夫して書く努力が必要だと思います。どうやったら、頭の中にあるものを読み手にわかりやすく楽しく読んでもらえるかを念頭に置いて書くと、どの作品ももっと面白くなるのではと思いました。

〈三川みり先生〉
読者に伝えることを常に意識した作品は基本的に評価が高かったです。受賞作を選ぶに際して重要になったのは主人公キャラクターの好感度で、そこが大きな加点ポイントでした。独自の設定がある作品も印象に強く残り、こちらも加点要素になりました。キャラクター造形も独自性も作者様の持ち味で、それを読み手により良く伝えられた作品が受賞となった感があります。自戒もしつつ、自分の強みを磨くのは大切だと改めて思います。

蜂蜜令嬢の結婚
〈伊藤たつき先生〉
キャラクターを書くのがお上手で、特に女主人公が賢くて意志が強くて素敵でした。得意な事を生かして活躍する姿にも好感が持てました。ですが男主人公の影がやや薄い印象です。二人が両思いになるのも唐突なので、好きになる過程をもっと見たかったです。一つの場面で何人もの視点が入り交じったり、誤字脱字も多いので仕上げの段階で確認を。お話も王道なのでこの作品でしか読めない「何か」があるといいなと思いました。

〈三川みり先生〉
とても楽しく拝読しました。あえて難点を言うならば、蜂蜜のくだりを物語の序盤からしっかりと組み込めばもっと良かったとか、やや類型的な物語運びかなという、その二点のみ。個々のキャラクターの性格付けや思惑や情念、関係性の変化など自然で、魅力的でした。ストレスなく読ませてもらえる良作でした。

〈編集部〉
期間限定の偽装結婚という王道的な始まりから、前向きに、自身の力で状況を変えていこうとするヒロインの好感度が非常に高い作品でした。
展開や設定にも無理がなく、ヒロインが丁寧に描かれている反面、ヒーロー自身の動きが少なく、魅力が伝わりづらい印象を受けました。
また構成やキーアイテムでもある「蜂蜜」の扱いにも物足りなさを感じる部分が多かったため、全体的なメリハリの意識やオリジナリティーをどこで表現するか、が大きな課題かと思います。

落ちこぼれ回復魔法士のタマノコシ狂騒曲
〈伊藤たつき先生〉
今回一番設定などがすんなり飲み込めた作品です。キャラクターや設定などとてもお上手で、テンポ良く読み進められて粋な終わり方で読後感もよく、面白かったです。全体的な完成度は高いのですが、少女小説としては設定や言動など不適切な部分が多いように感じました。特に男主人公は、いくら事情があったにせよ考え方や言動がきつめだったように思います。女性向けのレーベルなので、女性が不快に思わないような気遣いも大切なポイントです。

〈三川みり先生〉
最初から最後までぐいぐい読めました。主人公の性格が嫌みなく、さらに滅多に死なないという、エグ味さえある面白さがあり楽しいです。暗く残酷な事実が物語の中心にはありますが、物語全体の印象が明朗なのは主人公とヒーローのキャラクターのおかげかなと思いました。魔法の理論が明快かつ、物語にしっかり絡んでいるのも好印象でした。

〈編集部〉
主人公とヒーローのやりとりが軽妙で、勢いのままに物語を読み込ませる力がありました。魔法設定とあわせて主人公が抱える欠点と、その欠点がどう活用されていくのか、という期待感もうまく展開にはまっています。
しかし読者を意識して構築されている反面、エンタテインメントとしてのバランスに多少ちぐはぐさを抱えている印象です。そのシーンを読んでいる読者は喜んでいるのか、悲しんでいるのか、表情を意識して、構成し直してみてください。

魔法使いのつがいの魔封士
〈伊藤たつき先生〉
設定がとてもよくできていました。ですがそれ以外が物足りない感じがして、すごく惜しいという印象です。特に前半、男女主人公がお互いに我慢しすぎている感じがしたので、もっと二人の性格や交流がわかるようなエピソードが読みたかったです。設定がすごくよくできているので、それを生かせるような物語作りができれば、もっともっと面白くなるのではと思いました。ストーリーや構成など再検討したものをもう一度読んでみたいです。

〈三川みり先生〉
設定が特殊で興味深く読めました。キャラクターの心情や関係性の変化なども自然で心地よいです。主人公カップルはかなり重い設定なのですが優しい物語という印象です。この設定ならば、もっと思い切った展開・問題を用意しても面白いかもしれないなと思いました。それを解決していくことで、物語の優しさがさらに光る気がします。

〈編集部〉
「魔封士」と「魔法使い」のつがい設定が非常に魅力的で、「この二人でなければならない」という納得感がありました。主人公が死のうとしている冒頭のつかみも読者を一気に引き込み、最後まで優しい世界観が丁寧に構築されていました。
そのためかどこか淡々とした印象になってしまい、冒頭を超える盛り上がりが作中で作れていなかった点は残念です。この二人だからこその魅力をもっと掘り下げていっていただければと思います。

ザランド王国警備団特務部隊
〈伊藤たつき先生〉
女主人公の行動など好感が持てる部分もありました。サブキャラのエピソードも面白く、最後のハッピーエンドも微笑ましくてよかったと思います。ですが全体的に設定などがわかりづらくてもったいないと思いました。敵の描写も前半あまりないので、いきなり後半で出てきた感じがして対決しても感情移入しづらかったです。ストーリーや設定などを整理してわかりやすく読み手に伝えられると、もっと面白くなるのではと思いました。

〈三川みり先生〉
創作への、あふれるような意欲を感じました。書きたいことが多いために一冊の本にまとめるには難しく、散漫な印象になったようです。やりたいことも理解できるし、気概も素晴らしいのですが、枚数制限のある投稿作品なので、制限内でできることに絞れば、違った作品になり違った評価になったかもしれません。

〈編集部〉
魔法設定が作りこまれており、多彩なキャラクターたちが展開していく群像劇としての魅力を感じさせていただきました。
一方で、複雑ゆえに世界観や設定への理解を伴わないまま、キャラクターの視点が多すぎて読者の意識が散漫になってしまった印象でした。
ここが知りたい、読みたい、と思えるメインテーマを絞り、取捨選択をすることも時には必要かと思います。

魔女は呪われ伯爵を愛してはならない
〈伊藤たつき先生〉
キャラクターが多くてそれぞれ能力もあってと、設定がしっかり練られていました。ですが地の文の説明が多くて、彼らの能力など理解できないまま話が進んでいくので、もったいない印象です。もっと設定などをわかりやすく読み手に伝えられるといいなと思いました。小説を最後まで書き終えられるだけでも十分すごい事なので、読み手への伝え方、構成、ストーリー展開、キャラクターなどもう一度整理してみると、読みやすくなると思います。

〈三川みり先生〉
キャラクターやその関係性を愛して創作されていることが伝わりました。作者様の中ではそれらについて掘り下げられており、様々なエピソードがあることは理解できます。ただ今回の物語は、作者様の中で既にできあがった前提の上に展開していた印象があり、その点で、読んでいて乗り切れない部分があったように思います。

〈編集部〉
タイトルにまず目を引かれ、主人公のメイドと仕えるお嬢様の主従関係、さらにそこに魔女や聖女の設定が絡んで……と、キャラクターが細かく構築されていました。
その作り込みゆえか、初めから「このキャラクターはこういう設定なのでこう動いて当たり前」という展開になってしまっており、読者目線で次はどうなるんだろう、と期待させるような物語になっていなかったことは惜しい点です。脳内のキャラクターを読者に紹介していくために必要な説明やエピソード、構成を見直してみてください。


WEBテーマ部門
婚約破棄された研究オタクの侯爵令嬢は、後輩からの一途な想いに気づかない
〈読者からのコメント〉
・よくある婚約破棄ものかと思ったらいい意味で裏切られました。
・一気に最新話まで読んでしまうほど引き込まれ、また読みやすかった。
・ヒーローとヒロインが双方かっこよく、かわいく、爽やかにヒーローがヒロインを愛し愛される為の努力過程が「普通…逆では?」と固定概念がひっくり返された所が良かったです!!

〈編集部〉
ヒロインが婚約破棄されたあと、それまで一途に想いを寄せていたヒーローに婚約を申し入れられ……という導入は王道ながら、その後も常にキャラクターが「好き」なことに邁進している姿はとても魅力的でした。
しかし前後半で視点を変え、前半で婚約破棄に至るまでの裏側をヒーロー目線で描くことにより、タイトルから受ける印象とのずれが大きく、ただでさえ研究オタクで不器用なヒロインの魅力が伝わりづらくなってしまった印象です。ヒーローが「なぜそこまで頑張れるのか」という納得感も含め、「そこが知りたい」と思える盛り上がりを期待します。

花鈿の後宮妃 ~ヒロインに殺される皇帝を守るため、お毒見係になりました
〈読者からのコメント〉
・中華後宮が舞台なのに、難しいことなくさサラサラと読める。わかりやすい文章で、後宮にとっつきにくい人でも読みやすい。
・ちゃんと作りこまれた世界観がありつつ、重くなり過ぎず軽いテンポで読み進められるのがとても良かった。

〈編集部〉
今回数が少なかった中華ジャンルの中でも、特別な能力を持った主人公がその能力を用いて「毒味係」として物語を動かしていく、という展開は大変読み応えがありました。
テンポよく進んでいく読みやすさもありながら、そのためにキャラクターとしての深掘りに物足りなさを感じ、印象が薄くなってしまっています。主人公に設定を詰め込みすぎて逆に甘くなってしまっている部分も感じられますので、どういったポイントで成長と魅力を描くか、を意識してみてください。

転生魔女、逆ハー狙いの転生聖女から国を救います
〈読者からのコメント〉
・全編通してすごく面白かった
・とても読み応えがあり、文章も読みやすいと感じた

〈編集部〉
老婆に姿を変えた主人公がヒーローと旅をする中で、本当の姿がバレたらどうしようというハラハラ感やお約束展開としてバレてしまったあとのごまかし方など、期待したい王道展開がきちんと盛り込まれていました。
その分、設定やキャラクターが混み合ってしまい、後出しのようにも感じられる設定が見受けられ、どこに感情移入するべきか読者を迷わせてしまっています。どんでん返しも多すぎると意識がばらけてしまうため、起承転結のメリハリを構成してみてください。