第24回角川ビーンズ小説大賞 受賞コメント&選評公開!
先日発表いたしました第24回角川ビーンズ小説大賞受賞者1名の受賞のコメントと、最終候補5作品の選評を公開いたします。
ご応募くださいました方々、選考にあたられた諸氏に改めて御礼申し上げます。
ご応募くださいました方々、選考にあたられた諸氏に改めて御礼申し上げます。
一般部門≪特別賞≫
「聖女候補の替え玉令嬢は孤独な王子の運命を諦めない」坂井 ひなぎ
【あらすじ】
強力な浄化魔法が使えるために、自分を聖女試験の替え玉にする企みを知った子爵令嬢のブランシュ。利用されるのは御免だと仕えていた公爵邸から逃亡するが、その途中で魔物と出くわし、浄化魔法を使っているところを国一番の魔法騎士である第二王子ジスランに見られてしまう。
ブランシュの浄化魔法に心底感激したジスランは、「君、よかったら王立騎士団で働くつもりはないかい?」と彼女を騎士団にスカウト。彼の庇護のもと、ブランシュは王宮の医務室で新しい生活を始めることに。
なぜかジスランは「君は僕の隣にいてくれるだけでいいんだ」と一途な好意を向けてくるが、身分の違いからその想いを素直に受け取れずにいるブランシュ。しかし、彼女の周囲で起こる事件をきっかけに二人の距離は縮まっていく。
ブランシュを見つめる優しい瞳の裏で、「君が聖女であるならば僕たちは……」と、その運命の行く末に深く苦悩するジスランの葛藤を置き去りに、時は進み――。
孤独な王子の切ない秘密と、聖女の力を持つ令嬢。運命に挑む、一途な愛の物語。
【受賞コメント】
このたびは特別賞という素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。
選考に携わったくださった全ての方に心より感謝申し上げます。
私にとって角川ビーンズ文庫は今の創作活動の原点ともいえる存在です。今回、自分の「好き」を詰め込んだ作品で受賞できたこととても嬉しく、諦めずに書き続けていて本当によかったと思いました。
少しでも皆様の心に残る物語をお届けできるよう精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【あらすじ】
強力な浄化魔法が使えるために、自分を聖女試験の替え玉にする企みを知った子爵令嬢のブランシュ。利用されるのは御免だと仕えていた公爵邸から逃亡するが、その途中で魔物と出くわし、浄化魔法を使っているところを国一番の魔法騎士である第二王子ジスランに見られてしまう。
ブランシュの浄化魔法に心底感激したジスランは、「君、よかったら王立騎士団で働くつもりはないかい?」と彼女を騎士団にスカウト。彼の庇護のもと、ブランシュは王宮の医務室で新しい生活を始めることに。
なぜかジスランは「君は僕の隣にいてくれるだけでいいんだ」と一途な好意を向けてくるが、身分の違いからその想いを素直に受け取れずにいるブランシュ。しかし、彼女の周囲で起こる事件をきっかけに二人の距離は縮まっていく。
ブランシュを見つめる優しい瞳の裏で、「君が聖女であるならば僕たちは……」と、その運命の行く末に深く苦悩するジスランの葛藤を置き去りに、時は進み――。
孤独な王子の切ない秘密と、聖女の力を持つ令嬢。運命に挑む、一途な愛の物語。
【受賞コメント】
このたびは特別賞という素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。
選考に携わったくださった全ての方に心より感謝申し上げます。
私にとって角川ビーンズ文庫は今の創作活動の原点ともいえる存在です。今回、自分の「好き」を詰め込んだ作品で受賞できたこととても嬉しく、諦めずに書き続けていて本当によかったと思いました。
少しでも皆様の心に残る物語をお届けできるよう精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
選評
【編集部総評】
第24回「角川ビーンズ小説大賞」にご応募いただいた皆様、まことにありがとうございました。
大幅にリニューアルをした今回は、総応募数373本と前回より減少傾向にありましたが、女性向けジャンルの中にも様々な要素を取り入れ、新しいものを生み出そうという意欲に溢れた作品が多数見受けられたことは、大変喜ばしい選考となりました。
しかしその一方で、「一般部門」「テーマ部門」どちらにおいても「何を伝えたいのか」に迷いが見られる作品が多い印象も受けました。
せっかく読者を掴む目新しい要素があったとしても、その設定がキャラクターに生かされていなかったり、読者ターゲットを意識していないものだったりすれば、いわゆる「出オチ」として意味がないものになってしまいます。
主人公は何を成し遂げたいのかという目的意識を持たずに終わってしまったために、最後まで乗り切れないまま曖昧な読後感になってしまい、残念ながら選外となった作品も多くありました。
今回最終候補となった作品は、「こうしたら読者に楽しんでもらえるのではないか」という前向きな挑戦を取り入れながらも、キャラクターを生き生きと描こうとした点が評価されました。また受賞作においては、この二人だからこそ意味があると思わせてくれるヒロインとヒーローの関係性がうまくはまっていた点で、受賞の結果となりました。
第25回は両部門において、「WEB投稿用応募フォーム」「カクヨム」のどちらからでも応募ができるようになりました。また「一般部門」では女性主人公が活躍する物語を、「テーマ部門」では男性主人公が活躍する物語を募集いたします。
これはただ主人公の性別が違うというだけではなく、角川ビーンズ文庫から読者に向けて「この主人公だからこそ好き」だと伝えていけるような、そのジャンルにおけるエンタテイメント溢れる作品を期待してのものとなります。
あなたの中に生まれ、あなただからこそ描ける魅力的なキャラクターたちの物語をお待ちしています。
第24回「角川ビーンズ小説大賞」にご応募いただいた皆様、まことにありがとうございました。
大幅にリニューアルをした今回は、総応募数373本と前回より減少傾向にありましたが、女性向けジャンルの中にも様々な要素を取り入れ、新しいものを生み出そうという意欲に溢れた作品が多数見受けられたことは、大変喜ばしい選考となりました。
しかしその一方で、「一般部門」「テーマ部門」どちらにおいても「何を伝えたいのか」に迷いが見られる作品が多い印象も受けました。
せっかく読者を掴む目新しい要素があったとしても、その設定がキャラクターに生かされていなかったり、読者ターゲットを意識していないものだったりすれば、いわゆる「出オチ」として意味がないものになってしまいます。
主人公は何を成し遂げたいのかという目的意識を持たずに終わってしまったために、最後まで乗り切れないまま曖昧な読後感になってしまい、残念ながら選外となった作品も多くありました。
今回最終候補となった作品は、「こうしたら読者に楽しんでもらえるのではないか」という前向きな挑戦を取り入れながらも、キャラクターを生き生きと描こうとした点が評価されました。また受賞作においては、この二人だからこそ意味があると思わせてくれるヒロインとヒーローの関係性がうまくはまっていた点で、受賞の結果となりました。
第25回は両部門において、「WEB投稿用応募フォーム」「カクヨム」のどちらからでも応募ができるようになりました。また「一般部門」では女性主人公が活躍する物語を、「テーマ部門」では男性主人公が活躍する物語を募集いたします。
これはただ主人公の性別が違うというだけではなく、角川ビーンズ文庫から読者に向けて「この主人公だからこそ好き」だと伝えていけるような、そのジャンルにおけるエンタテイメント溢れる作品を期待してのものとなります。
あなたの中に生まれ、あなただからこそ描ける魅力的なキャラクターたちの物語をお待ちしています。
《一般部門》
●「聖女候補の替え玉令嬢は孤独な王子の運命を諦めない」坂井 ひなぎ
その力ゆえに聖女試験の替え玉にされそうになった侍女と、魔法騎士でもある第二王子のラブロマンス。困っている人を放っておけないヒロインの好感度も高く、自分の力を用いてどう生きていくかという前向きさと物語後半の展開が上手く組み合わさっていました。一方で、後半の展開へと繋いでいくだけの伏線に物足りなさがあり、前半と後半で受ける印象が変わってしまった点が惜しいところでもありました。読者の意識を盛り上げていくための構成や展開を見直してみてください。
その力ゆえに聖女試験の替え玉にされそうになった侍女と、魔法騎士でもある第二王子のラブロマンス。困っている人を放っておけないヒロインの好感度も高く、自分の力を用いてどう生きていくかという前向きさと物語後半の展開が上手く組み合わさっていました。一方で、後半の展開へと繋いでいくだけの伏線に物足りなさがあり、前半と後半で受ける印象が変わってしまった点が惜しいところでもありました。読者の意識を盛り上げていくための構成や展開を見直してみてください。
●「後宮入りした末っ子天女は、女装好きな美貌の皇帝に溺愛される」遠屋 堤
罰として人間界に落とされた天女と、ある事情から女装をしている皇帝の異類婚姻譚。天女であるヒロインが人間界に無知であるがゆえに、国の事情に巻き込まれながらも誰かの救いになっていく姿が魅力的に描かれていました。その反面、世間知らずな行動に若干感情移入がしづらく、ヒロインが幼い印象で終わってしまったことは残念でした。「天女から人間へ」という意味合いでの成長が掘り下げられると、さらに物語が深まるのではないかと思います。
罰として人間界に落とされた天女と、ある事情から女装をしている皇帝の異類婚姻譚。天女であるヒロインが人間界に無知であるがゆえに、国の事情に巻き込まれながらも誰かの救いになっていく姿が魅力的に描かれていました。その反面、世間知らずな行動に若干感情移入がしづらく、ヒロインが幼い印象で終わってしまったことは残念でした。「天女から人間へ」という意味合いでの成長が掘り下げられると、さらに物語が深まるのではないかと思います。
●「【完結】こっち向いて!少尉さん - My girl, you are my sweetest! -」文野さと
年上の少尉に憧れ、生まれた恋がヒロインを成長させていきやがて看護師になる……という展開に引き込まれる物語でした。純粋に、前向きに頑張っていく姿は応援したくなるところではありますが、その中で彼女が持つ「異能」が少し浮いて見えてしまい、ヒロインの努力に違和感を足してしまう結果になっていたように思います。またヒーローに共感性が足りない印象があり、ヒロインが命をかけて追いかけるだけの魅力がさらに作りこめると良いのではないでしょうか。
年上の少尉に憧れ、生まれた恋がヒロインを成長させていきやがて看護師になる……という展開に引き込まれる物語でした。純粋に、前向きに頑張っていく姿は応援したくなるところではありますが、その中で彼女が持つ「異能」が少し浮いて見えてしまい、ヒロインの努力に違和感を足してしまう結果になっていたように思います。またヒーローに共感性が足りない印象があり、ヒロインが命をかけて追いかけるだけの魅力がさらに作りこめると良いのではないでしょうか。
《WEB部門》
●「後宮の料理女官は料理の知識で謎を解く〜それは毒ではありません?高貴な官吏(?)に気に入られました〜」空岡立夏
料理の知識で事件を解決する女官と彼女の知識をうまく使おうとする官吏の関係性が面白く、テンポよく進んでいく展開も読みやすさがありました。一方で登場する料理の種類が雑多だったり、事件性が単発で終わってしまったりと、全体的な印象が小さくまとまってしまい、この話でしか読めないと思わせるポイントが薄くなってしまったのは残念な点です。小話を積み重ねることで大きな事件の核心に迫るなど、物語としての軸構成を見直すとさらに読み応えが出てくるかと思います。
料理の知識で事件を解決する女官と彼女の知識をうまく使おうとする官吏の関係性が面白く、テンポよく進んでいく展開も読みやすさがありました。一方で登場する料理の種類が雑多だったり、事件性が単発で終わってしまったりと、全体的な印象が小さくまとまってしまい、この話でしか読めないと思わせるポイントが薄くなってしまったのは残念な点です。小話を積み重ねることで大きな事件の核心に迫るなど、物語としての軸構成を見直すとさらに読み応えが出てくるかと思います。
●「いつかわたしを攫ってくれると言った怪盗の正体は、冷徹嫌味な宰相閣下でした」藤原ライラ
託宣により女王に選ばれてしまった王女と、宰相とのラブストーリー。意図せず選ばれてしまったからこそ向き合いたくないヒロインと教育係のヒーローという関係性は魅力的ながら、覚悟を決めるまでの成長物語としては描き切れていない側面が多く、物足りなさを感じました。また「怪盗」としての出会いと逃げ場がさらにその点を助長しており、「恋愛」と「お仕事」ものとしてのバランスが上手く取れていない印象でしたので、そこを調整するとぐっと魅力が増すかと思います。
託宣により女王に選ばれてしまった王女と、宰相とのラブストーリー。意図せず選ばれてしまったからこそ向き合いたくないヒロインと教育係のヒーローという関係性は魅力的ながら、覚悟を決めるまでの成長物語としては描き切れていない側面が多く、物足りなさを感じました。また「怪盗」としての出会いと逃げ場がさらにその点を助長しており、「恋愛」と「お仕事」ものとしてのバランスが上手く取れていない印象でしたので、そこを調整するとぐっと魅力が増すかと思います。


